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西レディースクリニック無痛分娩

無痛分始プロトコール

適応と禁忌
1)妊婦が希望する場合
2)医学的適応
精神的ストレスを避けたい:精神疾患など
循環動体の変動を和らげたい:HDP、心疾患など
帝王切開への移行(コンバージョン)の麻酔を安全に行う準備をしてすべき場合:肥満·挿管困難が予想されるなど
これらは高次施設への紹介も考慮される

禁忌
1)妊婦が非協力的(広義の禁忌)
2)医学的に避けるべき病態がある(狭義の禁忌):感染·出血傾向·中枢神
経系疾患(例えば多発性硬化症)など
特に腹痛などを訴え HELLP 症候群が疑われる場合は急激に出血傾向が出るので禁忌

▶施行形熊
1) 計画分娩のみ
2)オンデマンド(麻酪前診察を受けて説明を問き、インフォームドコンセントを提出済みの妊婦で、時間外に陣痛発来した場合)
3) いわゆる飛び込み無痛(無痛分娩を希望していなかった妊婦が、分娩経過中に痛みに時えられなくなった場合

▶麻酔前評価
妊娠12週以降で、当院での分娩を決めて、無痛分娩を受けたい、
あるいは説明だけでも聞きたい妊婦に対して外来で麻酔科医が行なう。
その上で無痛分娩を希望する場合は、インフォームドコンセントを取っておく。
その際には、無痛分娩を提供出来ない場合もあることを伝えておく。

▶硬膜外麻酔による無痛分娩の具体的方法
1) 施行時に、最終の飲食の時間を確認する。
原則として麻酔開始前に絶食2時間以上を確保する。また、この時点から食事は軽食も含めて禁止し、飲水のみとする。
7:30の朝食はOK それ以降は飲水のみタイムラグあるため9~div開始
→軽食 パン1枚+ジース(果肉なし)
モニター装着。硬膜外麻酔施行中は5分間隔で血圧測定。
.救急カートを必要なときに持ってこられるようにしておく。
エフェドリンをすぐに投与出来る状態で準備しておく。使用しなかったら、当日中は他で使用可。
酸素が必要な場合にすぐに投与出来るようにしておく。
ドルミカムは吸わなくてもよいが、アンプルは準備しておく。
ミタゾラム2ml1A

側臥位(左右どちらでも良い)で施行。高度肥満の場合は坐位の場合もある,
L3/4 からの刺入を原則とする。カテーテルは東夷方向に 3~4cm 硬膜外腔に留置し(高度肥満の場合は 5~6cm 留置)背中にテーブで固定する。
この際に、カテーテルが皮膚に刺入されている長さを記載しておく。
(経過中に効果が得られなくなった場合などに、カテーテルが抜けた可能性の判断に役立つ。)

2)テストドーズ
仰臥位に戻し、モニターの血圧測定問隔を2分にする。
注入前にカテーテルにゆっくりと弱い陰圧をかけて液体·血液の逆流がない事を確認する。
1%キシロカイン3ml注入し、3~5分経過を見る。
① すぐに下肢の温感やしびれが出現した場合
→くも膜下にカテーテルが迷入した恐れがある(つまりルンバールになっているので、それ以上に薬を入れると脳内にまで注入した薬液が広がり意識消失·呼吸停止する)→マスクで補助換気を必要とする可能性があるため、酸素·アンビューなどを準備する
② 耳鳴りがしたりロの中に金属のような変な味がした場合→
血管内にカテーテルが迷入した恐れがある。→この投与量では痙攣を起こすことはないが、中枢神経症状として不穏になったりする可能性があるため注意深く観察する。数分で落ち着く事が多い。

上記①②の場合は、すぐにカテーテルを抜去する。
② の場合はすぐに再施行する。
① の場合は、脊椎麻酔としての効果が鼠径部以下に下がってから再試行
する。但し、陣痛の痛みが強くなった場合は、もっと早く再施行する可能性がある。

また、カテーテルが迷入していても上記症状はもっと遅れて現れる事があるので、無痛分娩処置開始後の1時間は、常に患者の状態に注意を払うこと。

3)イニシャルドーズ
テストドーズで安全を確認出来たら、モニターの血圧測定間隔を5分に変更して、イニシャルドーズを注入していく。

薬液は
0,25%ポプスカイン10ml+生食10ml(=0,125%ポプスカイン)
仰臥位で5mlずつ5分間隔で3回注入する。Th10以下の麻酔域が得られている事が望ましい。この時も常に血管内注入や予想以上の麻酔の広がり(くも膜下迷入)となっていないかに注意する。
希望する効果がない時は更に5mlを注入し(合計20ml)、それで効果がなければ、適切な位置にカテーテルがないので、抜去して再施行する。
4 )維持期
持続注入を開始する。血圧測定は1時間おきに行う(必要に応じて更に頻回に行う)。
運動神経ブロックの評価(Bromage スケール)·知党神経ブロック評価(コールドテスト)は、持続注入開始時に行い、以後は医師が定期的に評価する。
運動神経ブロックはいきみの強さに関係するため分娩が進行してきたら助産師も評価する。膝を曲げられない時は医師に報告する。

排尿のための歩行は禁止し、尿意が分かりづらいため定期的に(2~3時間おき)ベッド上で導尿する。

薬液の組成
1)全量が100mlの場合
0,25%ポブスカイン30ml+フェンタニル2A(4ml)+生食66ml
合計100ml(0,075%ポブスカイン+フェンタニル2μg/ml)

2)全量が146ml の場合
0.25%ポプスカイン40ml+フェンタニル3A(6ml)+生食100ml
合計146ml(0,068%ポプスカイン+フェンタニル2μg/ml)

基本的には、146ml とし、分娩経過時間が短いと予想されるときは100ml で開始する。

▶分娩の進行が早く硬膜外鎮痛の効果発現を待てない時
硬膜外カテーテル留置時にくも膜下ブロック(ルンバール)併用
硬膜外ブロックの前にくも膜下ブロックを施行する。
薬液は

① 0,5%高比重マーカイン0.5ml+生食1,5ml 合計2ml
② 0,5%高比重マーカイン0,5%+フェンタニル0,2ml+生食1,3ml 合計2 ml
どちらかを注入する。

レスキュー 生食5cc+1mキシロ5cc=10cc(NRフイット10ccシリンジなし,20CC NRフイットロックタイプ用意)

SSS: single shot spinal
分娩までの時間が短い時には、硬膜外鎮痛との併用(CSEA)はせずに、くも膜下ブロックのみで無痛分娩とする方法もある。

▶分娩終了後
分娩終了後2時間は麻酔薬の注入を中止しカテーテルは抜去せず経過を見る。

▶無痛分娩で特に気をつけること
1)胎児一過性除脈
メカニズムは解明されていないが、無痛分娩を導入して痛みが緩和する
(多くは10分以内)時に胎児心音に異常が出る事がある。
多くは5分以内に回復するので、慌てて帝王切開にする事がないように気をつける。母体への酸素投与、体位変換、子宮収縮薬の一時中止などで対処する。
モニターで子宮過収縮が認められる場合は、リトドリンやエフェドリンの、ミリスロールで対処する事もある。
改善しない時は医師の判断でその後の対処を決める。

2)発熱
原因は解明されておらず、局所麻酔薬や麻薬が原因と推察されている。
38℃程度になり、子宮内感染との鑑別を要する。

3)そう痒感
麻薬が原因だが、軽減するよい方法がなく、クーリングで対処する。

4)突発痛(BTP: breakthrough pain)
急激な痛みの悪化は、分娩の急激な進行などで怒ることが多いが、稀ではあるが子宮破裂や常位胎盤早期剥離の初期症状である事も多いので、モニターやエコー検査で原因を確かめる。鎮痛薬の追加注入でも痛みが改善しない時には特に要注意。

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